京の老舗旅館で侘びの美学に出会う
100年の歴史を持つ京の老舗宿


 京都・三条界隈、麸屋町通。その通りに「炭屋」はある。歴史を感じさせる町並
みにすっと溶け込み佇むその姿は、豪奢な門構を予想してきた人をはっとさせるよ
うな静けさと気品に満ちている。

 創業は大正初め。もとは茶の湯や能楽、俳諧、謡などの文化人のサロンとして使
われていた。その客人たちが、楽しさについ夜も更けてしまい宿泊を乞うことが重
なり、それならばいっそ宿をやってはどうかと提案を受けた。これが「炭屋」誕生
のいきさつである。

坪庭を囲み、四季折々の日本を感じる
 建物は全て数寄屋造り。シンプルでありながら洗練された日本ならではの美意識・侘びの美学が随所に息づいている。坪庭を囲む設計のため、殆どの部屋から四季折々の色を見せる庭を眺めることができる。

 各部屋の襖とその引き戸には笹の葉、雀、糸巻き、瓢簞などをモチーフにした装飾がなされるなど
細部にわたって趣向が凝らされ、古くから続く京都の遊び心と粋が面影を残す。

 梅雨明けから彼岸の頃までは襖を取り払って葭戸がたてられ、畳にはあじろが敷かれる。打ち水のされた中庭に筧の水がしたたる水音。簾を下ろせばまるで一枚の絵のような、清涼な夏のしつらえである。四季を通してこの風情を愛し、滞在する人は後を絶たない。

炭屋が持つ茶室は「玉兎庵」と「一如庵」。
代々大切に受け継がれている
茶の心で客人をもてなす
 茶室では、毎月7日と17日の夜には宿泊客を招いて薄茶の接待がある。これは先代の頃から行われている習わしであるという。

 茶の心で客人をもてなす。それは炭屋が「季節の空気を五感で感じる」と掲げ、古くから季節の情緒を最大限に感じ取ろうとした先人の知恵と美意識が凝縮した「侘び寂び」に触れる、本物の「もてなしの心」である。

直線の中に大きな円を配した大胆で斬新な床の間のデザインは、銀閣寺内の洗月亭に起源があるという
直線の中に大きな円を配した大胆で斬新な床の間のデザインは、銀閣寺内の洗月亭に起源があるという

特集ページへ
サイトトップへ

<DATA>

炭屋旅館

住所:京都市中京区麩屋町三条下ル
TEL:075-221-2188
HP:http://www2.odn.ne.jp/sumiya/

月刊誌「男の隠れ家」10月号
月間誌「男の隠れ家」10月号
心の原風景に会いに行く昔町迷宮

幾重にも通り過ぎたはずの「時」がその存在さえも忘れられたかのようにじっと留まっている町がある。

私たちはその町で
何に出会うのだろうか。

詳細を見る
明治、大正、昭和、平成 国事を司る日本の ”顔”
静謐に佇む、湖畔の “古城”
純和風とアールデコの優美なミスマッチ
京の老舗旅館で侘びの美学に出会う
特集002
特集001
男の隠れ家ONLINE 会員募集中