ビールのうまい季節になった。まずは軽めの肴をつつき、ぷはっと息をつきたいところ。待ちきれず台所で開ける琥珀色を口に運びたい衝動を抑えつつ、今朝高知から届いたばかりの荷物を解く。小ぶりだがはりのある川えびたちは、四万十川の清流が育んだ逸品だ。

 柿田川(静岡県)、長良川(岐阜県)と並び日本の三代清流とされる高知県の四万十川。200種類もの生物が生息するその淡水で育まれるヤマト手長えび。その名の通りすらりと伸びたハサミを持つ。火を通すと褐色がみるみるうちに鮮やかな紅色へ染まる美しい変身ぶりは、酒宴のはじまりを告げる余興にも思える。年間を通して食されるが、5月から夏にかけてのこれからが旬という。

 小ぶりで控えめな印象を嬉しく裏切る、しっかりと主張のある甘みと旨み。じゅんわりあつあつを頭から丸ごと噛みしだき、きんと冷えたビールを流し込む。シンプルだからこそ贅沢の極みを感じる瞬間だ。

 揚げても焼いても香ばしさが際立つが、煮てもカリっとした食感はそのまま。調理法を選ばず存在感を放つ、小さな大物の楽しみは尽きない。

ヤマトテナガエビ

体長約8〜10cmの川えび。すらりと伸びたハサミが特徴。火を通すと鮮やかな紅色に。

川えびは水洗いし、水気を切る。炭を熾した七輪の上で、荒く塩をまぶした川えびを焼く。殻が厚めのハサミはしっかりめに焼くと食べやすい。焦げ目がついたら出来上がり。

水洗いし、しっかりと水を切った川えびを油で1〜2分カラリと揚げ、塩をふるだけ。白ごま油を使えばさらに軽やかに揚がり、極上のえび煎のよう。

だし汁に水洗いした川えび、厚い半月または輪切りにしたきゅうりを入れて火にかけ、砂糖、みりん、酒、醤油で調味。冷やして食べる。 「キュウリは煮るもの」という高知ならではの定番の品だ。

四万十屋(しまんとや)
住所 高知県四万十市山路2494-1
電話 0880-31-9191
HP http://www.shimantoya.com/

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