間に合わなかった弁当箱
[2009-05-27]
誰だっておいしいものは大好き。「クラリス」は、 そんなおいしいものが生まれる現場を、各地に訪ねて紹介、 暮らしや旅のヒントにしてもらおうという雑誌です。 「男の隠れ家」サイトに忍び込んでいますが、じつは発行元が おなじという間柄、ちょいと軒を貸してもらったという次第です。 これまで「有機野菜はなぜおいしいの?」 「きょうも直売所は大にぎわい」といった特集で、 各地の農家や漁師、レストランを訪ね、 おいしさの源を探っています。 どーかご贔屓のほど、お願いします。 本日発売8号は、 特集「うみ・やま・うちのおべんとう」、 お弁当好きには見逃せないクラリスですよ。 → クラリス http://www.clarust.net/ 校了日(作業がすべて終った日)の夜、ひと息ついて、 キッチンをガサコソやっていると、がしゃんと、何かが崩れてきました。 蛍光灯の光を受け、鈍い輝きを放っています。 「あ! こんなとこに!」 ずっとずっと昔、子供の頃に使っていたアルマイトの弁当箱でした。 ふたには、快速球を投げようとするピッチャーの姿が描かれています。 じつはこの弁当箱、8号制作中、必死に探していたのです。 20年前の引っ越しでそのままの段ボール箱や普段使わない物入れ、あちこち引っ掻き回していたのですが結局、見つからなかったのです。 この弁当箱で〝海苔べん〟をこさえて撮影というプランは、代わりの弁当箱で実行できたのですが、どこにいったのだろうと、気にはなっていたのでした。見つけた瞬間の気持ちは「もうおそいよ」ではなく「よかったぁ」でした。 子供時代に使っていた食器類は、茶碗も汁椀もお皿も箸も、 おそらくひとつも残ってはいないのに、なぜかこの弁当箱だけは、 ずっと在り続けてくれたのですからね。 それにしても、よく出て来てくれました。 ありきたりの弁当箱だけど、投手の背景のくすんだグリーンや、ふたのへこみさえも愛おしく思えて来るから不思議です。 ずっと空だったけど、きっと、いっぱいの時間が詰まっていたはずです。弁当箱として使われていた時間、使われなくなってからの時間……。 ありきたりのものを美しくするのは「時間」なんだということ、 あらためて思った校了日でした。こんどの日曜、この弁当箱においしいもの詰めて、海岸にでも遊びに行くことにしましょう。 |
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