模型作りに人生をかけた男の哲学− 金子辰也(ジオラマアーティスト)

[2009-06-25]

現代の子どもにプラモデルを!!


飛躍した意見かもしれないが、プラモデルやジオラマ作りには、集中力・発想力・工夫など現代人に欠けてきているものを補う要素がある気がする。金子氏は現在の子ども達をどう見ているのか?


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「今の子ども達には、携帯電話やテレビゲーム、高度な技術で作られた映像など、便利に発達したものが当たり前にある時代。そのため、頭の中でイメージしなくても作られた映像や描かれた世界がたくさんあるので、活字を読んだり、物語を聞いたりして妄想をする機会が薄れていると思います」

「僕らの時代はまだ物が満ち足りてなかった分、自分たちでいろいろ工夫して作ったり、勝手に妄想したりすることが多かった。例えば、近年活字離れと言われる今の若者やこども達と違って当時はマンガも読んだけどまだまだ本も沢山読んでいた。そのおかげで文章の行間に込められた意味なんかを読み取る能力もずいぶんと養えたと思うんですよ」

「そう言ったことが、極端な話他人を思いやったりする気持ちにつながっていった。だからと言う訳でもないかもしれないけどでも、ここのところ若者による不可解な事件が多いですよね。今の子ども達は想像力や妄想力などで養える部分が欠如している気がするんです。それは非常に危険なことだと思います」

「プラモデル作りは、大きな意味でより良い生産システムを確率する為のトレーニングみたいなものなんです。組み立て説明書をよく理解して、実際に行程通りに製作進行、その過程で時に想定外の失敗などを重ねながら工夫改良を実践、さらに自分自身のイメージやセンス(オリジナリティー)を要求される塗装工程や仕上げ作業など。また、その製作途中において時にはカッターで指をケガをし、血と痛い思いをすることもあります。でも、だからこそ刃物の怖さや取り扱い方に注意をするようになる訳です。また、それだけに自分自身が苦労しつつも楽しく一生懸命作ったプラモデルが完成したときには、たとえ他人からみたら上手くなくてもその達成感と満足感は何ものにもかえられない自信と喜びになります」

「最近はスイッチ1つでリセットできるものが多い。学校の課外授業でもなんでもいいから、もっと子どもたちにプラモデルを作る機会をもってもらいたいと感じています。最近は、プラモデルを知らないこども達も増えています。つまり模型店が減少したり、遊びの傾向が変わり出会うチャンスが少なくなっているのです。でも、初めてプラモデル作りを体験したこども達は目をキラキラと輝かせながら一生懸命作っています」


金子氏にとって、モノ作りは何か。

「自分にとってモノ作りは、自分の生きてる証であり、自分の人生のそのもの。画狂老人まんじ(葛飾北斎)や版画家の棟方志功さんのように老いても牛乳ビンの底のような眼鏡をかけ版木に顔をぎりぎりまで近づけながら力強く版木を彫っていたように、僕も老いて益々〜、生涯みなさんをアッ!といわせるような記憶に残る作品を作り続ける事が僕の理想です」


(取材・文/大野 哲也 撮影/菊池 友理)




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