模型作りに人生をかけた男の哲学− 金子辰也(ジオラマアーティスト)

[2009-06-25]

完璧主義者が完璧を求めない理由


 
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とにかく金子氏を表現するのにキーとなる言葉は「こだわり」である。どの仕事においても、とことんこだわり、常に高い評価を得てきた。ジオラマひとつにしても、イメージしたものが形になるまでは何年でも粘り、どんな妥協も許さない。完璧を求める彼の性格は生まれ持ったものなのだろうか。


「ん〜、自分がこだわりのある人間という自覚はあまりないんですよね。小学校時代から図画工作はいつも満点をもらっていました。ただ、高校の美術の時に自分の作品に納得がいかず、悪い成績になると分かっていても提出しなかった記憶があるので、今思うとやはり少し変わった性格ではあったのかもしれませんね」

 
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 タミヤ新橋店に展示されている「雪風」(クリックで拡大)


完璧主義者ともいえる彼の性格では、仕事の締め切りなどに縛られるのは辛いように思えるが、どうなのだろうか。


「僕の場合、逆に締め切りがないといつまでも作品が完成しない(笑)。考えている時間が長くて、製作自体はスロースターターなのでデッドラインを切られないとなかなか手が動かず完成しないんです。そのかわり、製作を開始した時点では頭の中にはテーマや構図、イメージを含め詳細な完成図が出来上がっているので、その後の作業はほとんど迷う事無く完成まで一気に進む事が多いです」

「でも、最後の最後でなんかこれ以上やってはいけないっていう瞬間があるんですよ。つまり、 100%にしてはいけないみたいな・・・。やはりスキというか陽明門の逆さ柱というか、完璧は不完全みたいな。やはり、作品も人も完璧じゃないから魅力があるんだと思うんですよね」


プラモデルやジオラマなどは、作るまでが最も面白いようにも思える。完成した作品に興味はあるのだろうか?


「人によっては作る事自体がすべてであって楽しいと、したがって完成したら自分の作品にたいして興味をなくす人もいますが、僕にとっては、時間をかけてアイデアを熟成させ、実際に作業し、いつものように締め切りギリギリに完成納品。撮影後作品が帰って来てからも自宅でいろいろ眺めたり、時には特撮風にスチールや動画で撮影したり。また、模型展示会などに出展しいろいろな方々に直接見てもらい質問や感想をいただいたりするなど、シーンによってはコミニュケーションツールにもなったり」

「それら、作品によっては構想に8年を費やしたものあります。なので、可愛い我が子のようなものなんです。だから、大小100点程ある作品のほとんどは現在も大事に保管しています。機会あるごとに箱から出してはひとり「すげ〜!」とかいって、自作ながら良く作ったな〜とか感心しています(笑)」

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