【Pick up! Cinema】韓国を代表する名監督が語る韓流、日韓、男の友情 「マイウェイ 12,000キロの真実」
[2012-01-26]
NHK・紅白歌合戦に3組のK-POPグループが選抜されたように、日本における「韓流」はすっかり定着した感がある。同じNHK総合で04年に放映された「冬のソナタ」がその最初のヒットといわれるが、実はこれより前の1999年、韓流のさきがけともいうべき大ヒット映画が日本公開されている。 その映画「シュリ」(99年、韓国)は、北の狙撃手と韓国諜報員のかなわぬ恋を描いたエンターテイメント。実銃を使用したアクションシーンがハリウッド映画並にすごいと評判になった。 振り返ればこの作品こそが、のちに「韓流」を日本市場が受け入れる際の礎石であった。そのカン・ジェギュ監督が、このたび最新作『マイウェイ 12,000キロの真実』(2012年1月14日から公開)を引っ提げて来日した。捕虜となり、結果的に日本、ソ連、ドイツ3か国の軍服を着て戦うことになったある日本軍人の史実を大胆にアレンジ。朝鮮人兵士との、民族を超えた友情物語に仕立てた。 「ロシアのシーンは零下20℃になる韓国内の森で撮影しました。険しい地形は立っているだけでも苦労するほど。主に4回の戦闘スペクタクルがありますがどれも熾烈な環境で、それぞれ異なる戦場で撮ってるようなものでしたよ」 真摯な表情で語るカン監督に、自身が先鞭をつけた韓流ブームについてどう思うのか聞いてみた。「50~60年代は日本映画が世界中に影響を与えていて、私もそうした古典から大いに学んだものです。今は韓国映画や音楽・ドラマが広く愛されているわけですが、その要因はコンテンツの独創性にあると思います。流行っているからと言ってそこがおろそかになってはダメでしょうね」 それならば、好調なK-POPやドラマに比べて、最近「シュリ」のように日本で大ヒットする韓国映画が無いことについて、内心たる思いがあるのではないか。 「私はむしろ、韓国内で日本映画がもっと流行してほしいと考えています。お互いの国の映画人の刺激になるし、観客にとっても多様な文化に触れる機会が増える。そういう環境になってほしいし、どちらの観客からも共感されるような映画がもっと出てきてほしい」 しかし現実には、日本を悪玉にしてナショナリズムを煽るような 韓国映画があっても日本ではほとんど公開されない。とくに両国の近代史についてはいまだにタブーが多く、監督が望む理想的な環境への道は遠いのでは? 「韓国では、以前は歴史もの自体が忌避されていたころがありました。しかし、スペクタキュラーで面白い作品が増えてくると企画が通りやすくなった。過去の歴史 を引き出して映画にするのは日本であっても難しいと思いますが、観客が楽しめて、関心が持てる作品を作りさえすれば必ず徐々に変わっていくはずです」 日韓問題を扱う際は、どちらかに肩入れするともう一方から反発がある。バランスをとるのが難しいのでは? カン・ジェギュ 1962年、韓国慶尚南道出身。政治的な題材を娯楽作に仕上げる手腕に定評ある映画監督。日本では「シュリ」(1999)が大ヒット、日本における韓国映画興収1位の座に長く君臨した。このほか「SSU」(2002)、「ブラザーフッド」(2004)など(クリックで拡大) この言葉は、これまで南北問題や日韓の歴史問題といったデリケートなテーマに果敢に挑み、堅苦しい社会派ではなく良質のエンターテイメントに昇華させてきたカン監督が語ってこその説得力だろう。最後に監督は、今後の日韓関係についてこんな言葉を残した。 「映画の中の主人公二人は、最初は対立していますが、戦場に取り残され互いに関心を持たざるを得ない状況に置かれます。その結果、二人の関係は徐々に変化し、やがて友情を育むまでになります。日本と韓国もこの地球上でもっとも近い国同士ですから、隣人として互いに関心を持ち続ければ、必ず新しい関係が開けていくはずです。この映画がそのひとつのきっかけになれればと願っています」 INFORMATION マイウェイ 12,000キロの真実 ■公開中 ■監督/カン・ジェギュ ■出演/オダギリジョー、チャン・ドンゴン、ファン・ビンビンほか 1928年、日本占領下の朝鮮。かたくなに国を信じた日本人と、まっすぐに夢を信じた朝鮮人。決して交わる事のない、憎しみ合う二人は、運命のいたずらで日本、ソ連、ドイツと三つの軍服を着て戦うことになる。 |
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