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「ソバリエ」とは何ぞや。山形の「ソバリエ」の掟を心の片隅に置いて蕎麦を手繰る

[2009-06-17]

そんなときに、いつも思うのが山形の「ソバリエ」のことである。山形市では1995年に誕生。現在までに33名が認定されている。山形の蕎麦屋さんは多種多様な蕎麦を出すのが特徴で、「来街者にそれぞれの好みにあった山形の蕎麦を紹介できる、蕎麦の案内人」たらんことを目的にしている。したがって、認定者には愛好家だけでなく観光・サービス業の関係者も多い。また、東京のように積極的に人数を増やしてはいない。東京と山形ではソバリエの目的や認定方法も、蕎麦の歴史や街の規模もまったく違うために単純に比較できないのだが、一つだけぜひとも紹介したいのが山形の「ソバリエ」の掟である。

● 蕎麦を食べなくてはならない(耳学問はご法度)。
● 蕎麦通ぶってはいけない。
● 何処の蕎麦屋が一番うまいなどとは口走ってはいけない。
● 山形の蕎麦案内の自覚と誇りを持たねばならない。
● 贔屓の引き倒しになるようなことをしてはならない。
● まだ食べた事の無い蕎麦屋を発見したらすぐに食べること。

驚いたのは三番目の「何処の蕎麦屋が一番うまいなどとは口走ってはいけない」という掟だ。これを実行するにはかなり難しい。何処の蕎麦屋が一番旨いか、私の場合それを語ることが仕事の一部になっているからだ。蕎麦好きの方々から見ても、そのほかの掟は常々感じて心がけていることだろうが、この掟はどうだろうか。蕎麦屋食べ歩きの楽しみの一つと思っているのではないか。

この掟の精神は蕎麦の普及に努めるのがソバリエの役目であって、蕎麦屋の味を云々することではない、ということだ。この言葉によって「あの店がどうの、この店がどうの・・・」と言い続けてきた我が身を振り返る機会となった。以来、蕎麦屋の評判に固執するよりも、広く蕎麦の魅力を伝えていけたら・・・と切に思うようになった。そして、蕎麦屋さんに行ったときは通ぶらないように、野暮にならないように、できることなら粋に振舞うように、とこの掟をいつも心の片隅に置いて自らを戒めているのだ。

最近では出雲蕎麦の本場、島根県出雲市でも「出雲そばりえ」が生まれて、これまでに91名が認定されている。蕎麦どころは各地にあるので、別の地域でもソバリエが生まれるかもしれない。彼らが中核となって新たな平成の蕎麦文化が生まれればよいのだが・・・。





 阿部文枝の「ほろ酔い蕎麦屋めぐり」過去の記事
長野で80歳の女性蕎麦打ち職人に出会って、「蕎麦コラム」再開の決意を新たにする

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阿部 文枝

阿部文枝(あべふみえ)。昼過ぎの蕎麦屋で「飲んでつまんで蕎麦を手繰る」を喜びとする蕎麦ライター。本コラムでは、本誌「男の隠れ家」の蕎麦特集で掲載しきれなかったお薦めの蕎麦屋を紹介する

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