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東西空港アクセス事情 関空&成田

[2010-07-19]

鉄道コラム「鉄学の道」/毎週月曜更新

乗りつぶし率99%の鉄道会社員が 
書き下ろす鉄分たっぷりコラム。

自社の貴重でレアな話題も 
時折飛び出します? 



 7月17日、成田空港への第3の鉄道アクセスルート、成田スカイアクセスが開業しました。北越急行に並ぶ在来線最高速の160km/h運転、山本寛斎デザインの新型スカイライナーなど話題豊富の新線ですが、これで成田空港から都心までの鉄道は、JR1ルート・京成2ルートの3本体制になります。

スカイアクセス開業で新型にバトンタッチする京成スカイライナー
スカイアクセス開業で新型にバトンタッチする京成スカイライナー(クリックで拡大)

 国内で鉄道アクセスを持つ11空港のうち、JRと私鉄が両方乗り入れているのは日本を代表する国際空港である成田と関西空港の2箇所だけです。成田のほうは、もともと新幹線によるアクセスがメインに予定されていて、京成電鉄はサブの扱いでしたが、新幹線の方が騒音問題などで沿線の猛反対を受けて用地買収ができず、開港時には京成だけが鉄道アクセスとなりました。

 図らずもメインに昇格した京成空港線でしたが、空港反対過激派の妨害などで昭和48年の予定だった開港は遅れに遅れ、せっかく当初予定に間に合わせて空港線も空港特急用車両も作ったのに使うことができず、挙句に過激派に特急用車両を焼き討ちされる始末。やっと昭和53年に開港し空港線も開業したものの空港ターミナル直下は新幹線予定駅に占領されていて、もともと空港従業員輸送主体に考えられていた京成の空港駅はターミナルから離れた位置に留められ、航空旅客は空港駅から連絡バスに乗るという状況でした。

 まったく京成電鉄にとっては踏んだり蹴ったりの成田空港線でしたが、さすがに新幹線の見込みがなくなると空港ターミナル地下の新幹線駅用の空間が勿体ないとマスコミにも指摘されるようになり、平成3年にこの施設を生かしてJR成田線が乗り入れることになったのに併せ、京成空港線もこの新幹線駅に入ることになりました。これが現在の成田空港駅です。

 この新線部分は、成田空港高速鉄道という第三セクターを設立して、これが第3種鉄道(鉄道施設を建設し、第2種鉄道事業者に使用させる)事業者となって建設・保有し、JR東日本と京成が第2種鉄道(自分以外の作った線路を使用して運送事業を行う)事業者として運営するものとなりました。なお、新しいスカイアクセスは、北総鉄道の印旛日本医大駅からこの成田空港高速鉄道の保有部分に接続するまでを、成田空港高速アクセス㈱という別の第3種鉄道事業者が建設・保有しています。

 関空は成田の経験を活かし(あるいは反面教師として)建設され平成6年に開港した、用地買収不要の海上空港です。海上であるゆえ本土との間に巨大な連絡橋を作る必要があり、それを通るアクセス鉄道も、成田の第3種・第2種鉄道の関係を参考にして関西国際空港会社自身が第3種鉄道事業者となる形で建設されました(日根野~りんくうタウン間については関空会社が建設しましたが後にJRに譲渡されています)。

 第2種鉄道事業者はJR西日本と南海ですが、南海本線からりんくうタウン駅への接続部分は南海自身が建設したものです。関空の第3種・第2種間の線路使用に関する取り決めは、成田を参考にしているため基本は同様ですが、最大の違いは線路の幅の問題です。関空に乗り入れるJR西日本と南海は線路の幅が同じ1067mmで架線電圧も同じのため線路を共用できます(ただしATSなどは仕様が異なるため、両方の機械を設置しています)が、京成は1435mmでJR東日本と幅が異なるため、線路が別々になっています。つまり、一見複線に見える線路はJR用と京成用の単線が並列しているわけです。この形だと施設の使用部分が両社ではっきり分かれているため、管理区分も明確ですが、複線を共用している関空ではJRと南海で保守管理や駅業務の担当区分を別途に定めています。

 空港アクセス鉄道は充実した形で整備されましたが、本家の両空港に関しては、昨今は航空不況の影響による関空の減便や羽田の国際化、アジアのライバル勃興など逆風が強いようです。アクセス鉄道が存分に活かされるよう空港事業の再起発展を期待するところです。

関西空港線では南海とJRは同じ線路を共用。りんくうタウン駅付近を走る南海ラピート(左)とJR関空快速
関西空港線では南海とJRは同じ線路を共用。りんくうタウン駅付近を走る南海ラピート(左)とJR関空快速
関西空港線では南海とJRは同じ線路を共用。りんくうタウン駅付近を走る南海ラピート(左)とJR関空快速(クリックで拡大)

成田空港線ではJRと京成の線路は別々で並列。京成のスカイアクセス試運転電車(左)とJR成田エクスプレス。
成田空港線ではJRと京成の線路は別々で並列。京成のスカイアクセス試運転電車(左)とJR成田エクスプレス。
成田空港線ではJRと京成の線路は別々で並列。京成のスカイアクセス試運転電車(左)とJR成田エクスプレス。(クリックで拡大)




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鉄学の道

山本浩(やまもとひろし)。南海電気鉄道勤務。学生の頃から鉄道好きの鉄道会社員の目線で鉄道業界のあれこれを書き下ろす。自社の貴重でレアな話題も時折飛び出します?

→  http://www.nankai.co.jp/

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