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鉄道と飛行機はパートナー? 空港アクセス鉄道

[2010-07-12]

鉄道コラム「鉄学の道」/毎週月曜更新

乗りつぶし率99%の鉄道会社員が 
書き下ろす鉄分たっぷりコラム。

自社の貴重でレアな話題も 
時折飛び出します? 



 「鉄道」と「飛行機」。長距離輸送の分野において、両者がライバル関係になったのはいつ頃からでしょうか。特急列車が高嶺の花だった時代、国内線の飛行機はそのさらに上を行く超贅沢品でした。

神戸空港駅に進入する神戸新交通ポートライナー
神戸空港駅に進入する神戸新交通ポートライナー(クリックで拡大)

 1970年代に主要航空路線のジェット化・大型化で航空大衆化が進むと東京~北海道などの在来線長距離客は急速に飛行機に転移していきましたが、新幹線の登場で東京~名古屋などの短距離航空路線は壊滅します。こうして現在は長距離は航空、中距離は新幹線という棲み分けが出来上り、その中間地帯で熾烈な主導権争いを展開しているのですが、一方、航空旅客の増加は鉄道に新たな輸送分野を生み出しました。空港アクセス輸送です。

 空港アクセスは飛行機に乗る人が主たるお客様ですから、乗り遅れのないよう定時運行が重要です。この点、渋滞の心配の無い鉄道はリムジンバスより断然優位です。また、巨大空港になるとそこで働く従業員は1万人以上になり、航空旅客に加えてこれら従業員の通 勤輸送も担うには、大量輸送が可能な鉄道が必要になります。こうしたことから、90年代以降は主要空港にアクセス鉄道が積極的に整備されています。

 現在、アクセス鉄道が乗り入れている空港は千歳・仙台・成田・羽田・中部・関西・伊丹・神戸・福岡・宮崎・那覇の11箇所で、成田・羽田・関西には複数路線が整備されています。これらは全て空港アクセスとして新たに建設された路線で、羽田の一路線と伊丹・那覇はモノレール、神戸は新交通システム、福岡は地下鉄、仙台は第三セクター、成田と関西はJRと私鉄の二本立て、千歳と宮崎はJR単独と、地域の状況や輸送量により様々な形態になっています。いずれも空港と最寄の大都市を直結するのが目的ですが、JRが乗り入れる千歳と宮崎は、幹線の都市間列車をそのまま延長して空港まで行く形をとっており、旭川や延岡といった空港から遠い中堅都市からの利便性も向上させています。

 この11空港の他にも、空港アクセス鉄道とは認識されていませんが、「空港駅」がいくつかあります。JR境線には米子空港駅があり、これは在来の駅を空港ターミナルに最も近い位置に移転・改称したもので、徒歩数分の距離がありますが、一応空港アクセスとして利用できるようになっています。東北本線には花巻空港駅がありますが、こちらはただ単に空港の敷地に近いだけの駅でターミナルと反対側の滑走路の端の方にあり、間違って降りると大変なことになります。

日本初の空港アクセス鉄道は羽田へのモノレール
日本初の空港アクセス鉄道は羽田へのモノレール(クリックで拡大)

 日本初の空港アクセス鉄道は、よく知られているとおり昭和39年に開業した浜松町と羽田空港を結ぶ東京モノレールです。東京オリンピックに向け世界への玄関口である羽田空港の利便性向上のため作られたものですが、当時の羽田の年間航空旅客数は425万人で現在(6700万人)の15分の1であり、運賃がひどく高かった(250円で、現在の感覚では2000円以上)こともあって閑古鳥が鳴いていました。オリンピック開催国としての見栄で作られたような路線ではありましたが、70年代には航空旅客の急増と高速道路の渋滞で経営が安定するようになり、京急空港線の開業による影響はあったものの重要路線として定着しています。

JR北海道 新千歳空港駅
JR北海道 新千歳空港駅(クリックで拡大)

JR九州 宮崎空港駅
JR九州 宮崎空港駅(クリックで拡大)

 次に昭和53年、成田空港開港に合わせて京成の成田空港線が開業しますが、当時は現在の東成田駅にしか入れずターミナルとバス連絡するという中途半端なものになり、利用者は伸びませんでした。昭和55年には国鉄千歳線に千歳空港駅(現・南千歳)が開業しますが、空港アクセス鉄道の整備が本格化するのは現在の成田空港駅が開業した平成3年頃からで、新千歳空港、関西空港、宮崎空港などへ次々に新線が延ばされました。今や主要空港に鉄道アクセスは欠かせない輸送手段であり、この分野においては、鉄道と飛行機はライバルではなく立派なパートナーになっています。
西空港への鉄道アクセス 南海電鉄難波駅で発車を待つ「ラピート」
西空港への鉄道アクセス 南海電鉄難波駅で発車を待つ「ラピート」(クリックで拡大)


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鉄学の道

山本浩(やまもとひろし)。南海電気鉄道勤務。学生の頃から鉄道好きの鉄道会社員の目線で鉄道業界のあれこれを書き下ろす。自社の貴重でレアな話題も時折飛び出します?

→  http://www.nankai.co.jp/

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