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ウミガメに会いたい!

[2010-07-01]


「男の隠れ家」本誌では語ることの出来ない取材裏話や 
追加情報、はたまた個人的な四方山話まで、何の役にも 
立たないコラムを連載します。どんな奴が「男の隠れ家」を 
作っているのか、興味のある方はどうぞ寄ってらっしゃい。

(今週は SM→KY)


 毎日ジメジメとした鬱陶しい日が続く中、南アフリカから届いたサッカー日本代表の猛進撃は、そんな鬱憤を吹き飛ばしてくれるものでした。惜しくもベスト8入りは逃しましたが、不屈の精神でチーム一丸となって挑み続ける姿からは、大いなるパワーをもらいました。負ければ終わりの勝負の世界ではありますが、未来へ繋がる確かな礎と、我々の心の中にも何か大切なものを遺していってくれたように思います。ありがとう日本代表! (これは試合の翌朝に書いています)

 さて、サッカーワールドカップ8強が出そろい、まだまだ睡眠不足の日々は続きそうですが、睡眠不足というと、現在書店に並んでいる小誌「個室列車とローカル線」特集も、睡眠不足との戦いから生まれます。
 通常取材は、個室寝台列車と到着駅からアクセスできるローカル線とを組み合わせて取材するのですが、その一般的な取材旅程をご紹介すると(夏季)ーー

日中通常業務→夜、上野駅か東京駅から個室寝台に乗車→個室寝台取材撮影(途中仮眠少々)→朝、到着駅より取材ローカル線へ移動→ローカル線取材撮影(20時過ぎくらいまで)→宿へ(場合によっては宿も取材撮影)→夜明け間からローカル線撮影スタンバイ→そのままローカル線取材撮影……

ーーを、連日繰り返すわけなのですが、夏季は日没が遅く日の出が早いため、おのずと取材時間も長くなります。故に慢性的な睡眠不足に陥り、終盤は意識朦朧としてきます。乗車取材をしていると、列車の心地良い揺れに睡魔が襲ってくることもしばしば。

 そんな小誌の名物特集「個室列車とローカル線」ですが、今回は「サンライズ瀬戸」と「牟岐線」を組み合わせて取材してきました。

 牟岐線は、徳島県の徳島駅と海部駅を結ぶ全長79.3kmの路線。紀伊水道から太平洋にかけてのリアス式海岸を縫うように走り、“阿波室戸シーサイドライン"の別名があります。途中駅の「日和佐」は、黒潮が育む豊かな漁場を有する穏やかで美しい港町。NHK連続テレビ小説「ウェルかめ」の舞台としてご記憶の方もいらっしゃるでしょう。

日和佐の町中を走る牟岐線。河口の先に大浜海岸があります。
日和佐の町中を走る牟岐線。河口の先に大浜海岸があります。(クリックで拡大)

 日和佐にある大浜海岸は、ウミガメの産卵地として知られ、取材期間はちょうどウミガメの産卵期間(5月20日~8月20日頃)に当たっていました。涙を流しながら、必死に砂中に卵を産み落とすウミガメを見てみたい! 

 ウミガメとの出会いを期待して、大浜海岸の目の前にある宿を確保した我々取材班(ちなみにこの日までウミガメは未上陸)。町ではこの時期、ウミガメの産卵を保護するための規制を敷いており、産卵時間の20:00~翌4:00までは、海岸付近への立ち入りは禁止、車も通行できないということでした。宿の入浴も21:00まで、部屋のカーテンも20:00には閉めるようにとのお達し。人工的な光でウミガメの産卵上陸を害さないための配慮です。なんと町では、「ウミガメール」なるウミガメ上陸お知らせメール配信サービスまであるのです! ウミガメが上陸すると、監視員の指導の下、産卵の一部を観察することができるのだそう。早速登録。メールが鳴ることを期待して、寝不足の体を横たえれば、ほどなく夢の中へ……。

アカウミガメが産卵上陸する大浜海岸。
アカウミガメが産卵上陸する大浜海岸。(クリックで拡大)

 結局、メールは鳴ることはありませんでした……。ウミガメの初上陸はなかったのでした。ちなみに、昨年の上陸頭数データによると、
 「5月1頭、6月7頭、7月4頭、8月0頭…… 計12頭」

 めちゃくちゃ上陸数少ないんですね~。これなら一回の滞在で遭遇できる方が奇跡なのかもしれません。気を取り直して、宿の隣にある「日和佐うみがめ博物館カレッタ」を覗いてみました。

 すると、いるではありませんかウミガメちゃん。館内ではウミガメを飼育しており、かわいい子ガメが泳ぐ水槽から、最高齢、今年還暦(1950年生まれ)を迎えるアカウミガメ「浜太郎」までが元気に泳いでいたのでした。

水槽で元気に泳ぐ子ガメ。鳥のように手足を羽ばたかせて泳ぎます。
水槽で元気に泳ぐ子ガメ。鳥のように手足を羽ばたかせて泳ぎます。(クリックで拡大)

水槽の下の方でお休み中の子ガメ。なんだか可愛らしいですね。
水槽の下の方でお休み中の子ガメ。なんだか可愛らしいですね。(クリックで拡大)

8月で還暦を迎えるアカウミガメの浜太郎。甲長は約90cm。
8月で還暦を迎えるアカウミガメの浜太郎。甲長は約90cm。(クリックで拡大)

「鶴は千年、亀は万年」のことわざや、「浦島太郎」の物語、中国の「玄武」に代表されるように、寿命の長さもあって古来から人々に敬われ、密接な関わりを持ってきたカメ。「浜太郎」の堂々たる体躯と悠々とした泳ぎっぷりに、寝不足の疲れも吹き飛び、元気をもらったような気がしました。

 ちなみに、6月28日現在で、24頭が上陸を果たしているそうです。今年は昨年を上回るペースで町の人々も喜んでいるようです。生きた化石とも言われるウミガメ。稀少な海の野生動物を、大切に守っていく地元の人々の取り組みに心から賛同いたします。





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