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続・電車の寿命 大事に使えば頑張れます

[2010-06-21]

鉄道コラム「鉄学の道」/毎週月曜更新

乗りつぶし率99%の鉄道会社員が 
書き下ろす鉄分たっぷりコラム。

自社の貴重でレアな話題も 
時折飛び出します? 



 今週も前回の記事に続き、電車の寿命のお話を。

 東京メトロ丸ノ内線は、現在銀色ボディの02系で運行されていますが、90年代半ばまでは赤い車体に白帯とステンレスのサインカーブ形の飾り帯を巻いた車両が走り、路線のカラーイメージを作り上げていました。

 今では地下鉄博物館などに数両が残るだけですが、遠く地球の反対側、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスの地下鉄に譲渡されたものが100両以上、丸ノ内線時代とほとんど変わらない姿で今も現役です。

 この車両は譲渡された時点で製造後30~40年経過した中古だったのですが、更新修繕されていたうえメンテが良く、到着した車両を見たブエノスアイレスの地下鉄関係者は間違って新車が届いたのかと思ったそうです。

 日本の鉄道車両は、技術現場がしっかりしているのと乗客の目が厳しいので、メンテナンスが充分に行き届いています。大手私鉄で最も古い部類の車両は東武8000系(昭和38~58年製造)、京急1000系(昭和34~53年製造)、京阪2200系(昭和39~43年製造)、南海7000系(昭和38~43年製造)というあたりで、概ね車齢40年前後ですが途中で内装や部材の交換などを含む更新工事を受けており、それほどくたびれた印象は受けません。

 とはいえ老朽化しているのは間違いないので、次第に本線の主力からローカル運用にまわされていきます。実際、大手で40年ほど使用して廃車になっても使用条件の厳しくない地方私鉄ならまだ10年以上使えるため、旧型車の取替えと冷房化用に大手からの中古車でごっそり車両を入れ替えるケースが多く、これらの車両は、最終的に廃車解体されるまでトータル50年くらい使われることになります。

酷使で短命だった国鉄181系(上越線「とき」 )
酷使で短命だった国鉄181系(上越線「とき」 )(クリックで拡大)

新幹線車両の寿命は短い 登場後13年で「のぞみ」から引退した500系
新幹線車両の寿命は短い 登場後13年で「のぞみ」から引退した500系(クリックで拡大)

 通勤電車に比べると、国鉄=JRの特急用車両などは高速で長距離を走行するため相当酷使されており、また特別料金をいただく看板電車ですから、接客設備もあまり時代遅れのまま使うことはできません。このため、どうしても寿命は短くなります。

 「こだま」など東海道線の特急用に作られた151系電車は、181系となって山陽線から上越線へと転用されていきましたが、豪雪地帯の上越線での酷使で傷みがひどくなり、製造後20年程度で廃車となりました(後輩の485系は車齢30年以上でも使われており、181系の廃車時期が国鉄の労使関係が悪化していた頃にあたるのでメンテナンスに影響を受けたのでは、との話もあります)。

 新幹線車両はさらに高速で長距離を走るためもっと短命で、15年ほどで廃車になっています。ただし、使用条件が緩やかな山陽新幹線の「こだま」に転用・短編成化した車両などは20年以上使われることもあります。

中国・大連市でまだ現役の戦前製路面電車
中国・大連市でまだ現役の戦前製路面電車(クリックで拡大)

 逆に低速・短距離の路面電車の場合は、路線ごと廃止にならない限り相当長期間使われることが多いようで、阪堺だけでなく広島電鉄でも戦前製の車両が活躍している他、中国の大連では満州国時代の1930年代に導入された日本製の路面電車が多数現役で走っています。LRTタイプの新型車が普及し始める前の昭和60年代頃までは、廃止になった他社の路線から状態の良い車両を引き取って使うというのが一般的でした。このため広島には大阪・京都・神戸・福岡の車両が集まっており、そのこと自体がウリになっています。


 古い車両は維持するだけで大仕事ですが、50年も経つと交換用の部品も現在は製造されていないものが多く、手持ちの予備品が底をつくと新たに手作りしなくてはなりません。80歳を超えた阪堺モ161形ともなると図面すら残っておらず、必要な部品の図面を鉄道博物館まで探しに行ったことさえあります。

 JR九州でSL人吉を牽いている58654号機は、一旦廃車されたものを昭和63年に復活させる際ボイラーなどを新製しており、さらに平成17年に台枠の歪みが見つかって運休となったときは台枠まで新製するという荒業で再復活させています。こうした古典車両は寿命云々の次元ではなく、関係者の情熱で産業遺産や文化財として維持していくため大変な努力が払われています。





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鉄学の道

山本浩(やまもとひろし)。南海電気鉄道勤務。学生の頃から鉄道好きの鉄道会社員の目線で鉄道業界のあれこれを書き下ろす。自社の貴重でレアな話題も時折飛び出します?

→  http://www.nankai.co.jp/

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