都市をグルッと 環状線の効用
[2010-05-24]
一方、大阪環状線は現在の関西本線である大阪鉄道が官設鉄道大阪駅に連絡するため、天王寺から路線を延ばしたのがルーツです。この部分は城東線として戦前から電車運転が行われていましたが、これと大阪港への臨港線だった西成線をつなぐ部分を戦後に作り、昭和39年から環状運転になりました。 官鉄との連絡線からスタートしたのは山手線と同じですが、城東線が都市交通として機能するのは昭和になってからで、それまでに南海難波、京阪天満橋、近鉄上本町の各ターミナルは市の内側に完成していました。このため、大阪環状線は梅田・天王寺のターミナルの他、新今宮・京橋・鶴橋などターミナルの手前の駅で私鉄と接続しており、ターミナルへの一極集中を避け混雑を分散する機能も果たしています。 また環状線は放射状の各路線を結んでいるので、これを利用すれば放射路線相互間に直通列車を走らせることができます。貨物輸送の面ではもともとそういう機能を持っていたのですが、旅客輸送では昭和48年の関西本線電化に際して奈良からの快速が大阪環状線へ乗り入れ、先鞭をつけました。 大阪環状線は列車密度に余裕があったため、直通運転は京都から南紀方面への特急、阪和線の快速、関空輸送などに広がっていきます。山手線の場合は並行する貨物線を旅客転用するという方法で、埼京線~りんかい線ルートと湘南新宿ラインを生み出しました。私鉄の地下鉄相互直通と同様の効果をJRは既存の環状線で上げられるわけです。上手に使えば使うほど効用の高い環状線ですが、直通運転が増えると冒頭のように寝過ごせばとんでもない所まで運ばれますので、くれぐれもご注意下さい。 鉄道コラム「鉄学の道」過去の記事 ・餘部の仲間たち トレッスル橋という鉄橋 ・都会の一隅にある、こんな路線 ・路面電車から新幹線まで ダブルデッカーの魅力 ・鉄道荷物輸送 昔「チッキ」と呼ばれたものがあった ・電車の保存 残してほしいあの電車 … |
山本浩(やまもとひろし)。南海電気鉄道勤務。学生の頃から鉄道好きの鉄道会社員の目線で鉄道業界のあれこれを書き下ろす。自社の貴重でレアな話題も時折飛び出します?
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