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都市をグルッと 環状線の効用

[2010-05-24]

鉄道コラム「鉄学の道」/毎週月曜更新

乗りつぶし率99%の鉄道会社員が 
書き下ろす鉄分たっぷりコラム。

自社の貴重でレアな話題も 
時折飛び出します? 



 寝不足の朝、山手線に乗ったらたまたま座れて寝入ってしまった。はっと気づくとまさに自分の下車駅。やれ危なかったとホッとして降りて出勤したら、なんともう昼前で課長に大目玉。寝てる間に3周していたのだった……。

 某有名漫画家も4コマで使ったギャグですが、確かにありそうな話ですね。私の知人でも1周寝過ごした人がいます。普通の路線なら終点で誰か起こしてくれますが、環状線ではそれがない。「環状線のワナ」とでも言いましょうか。

 大都市には、こうした環状運転をしている路線がいくつか存在します。日本では、山手線と大阪環状線の他、名古屋も地下鉄名城線が環状線になっています(都営大江戸線は都庁前で折り返す構造で、完全な環状運転ではありません)。

野田付近を走る大阪環状線201系
野田付近を走る大阪環状線201系(クリックで拡大)


世界最古の環状線


ロンドン地下鉄 サークルライン ハイストリート・ケンジントン駅
ロンドン地下鉄 サークルライン ハイストリート・ケンジントン駅(クリックで拡大)

ベルリンのSバーン ベルリン中央駅
ベルリンのSバーン ベルリン中央駅(クリックで拡大)

 最古の環状線と言うべきものはロンドン地下鉄のサークルラインで、世界で初めて開業した地下鉄もこの路線の一部であり、1884年に環状運転を始めています。ベルリンも戦前に環状線が形成されて運行していましたが、戦後の東西分断で不通になり、最近になってSバーン(国電)の路線として完全復活を果たしています(パリにもあったようですが、現在は機能していません)。

 これら環状線の主たる機能は、都市から放射状に延びる路線及びそれぞれが独自に持つターミナルを、相互に連絡するというものです。ロンドンのサークルラインはパディントンやヴィクトリア、キングズ・クロスといった主要路線の各ターミナルを通っており、山手線は東京から出る各路線のうち、東武伊勢崎線を除く全路線と接続しています。

 ただし成立過程は少し異なり、サークルラインは先に開業していた各ターミナルを結ぶ形で後から作られていますが、山手線は東北本線となる日本鉄道会社が官設鉄道東海道線と連絡するため、明治18年に赤羽~品川間を開通させたのに始まります。

 市街地を迂回した連絡線のため沿線は人家もまばらでしたが、上野~東京間の高架線完成で環状運転となる大正14年にはほぼ市街地化され、山手線が市の城壁の如くなっており、大正期以降続々開業する私鉄は山手線上にターミナルを設けざるを得ませんでした。つまり環状線が先にできてターミナルが後から環状線上に作られる形になったのです。

鉄学の道

山本浩(やまもとひろし)。南海電気鉄道勤務。学生の頃から鉄道好きの鉄道会社員の目線で鉄道業界のあれこれを書き下ろす。自社の貴重でレアな話題も時折飛び出します?

→  http://www.nankai.co.jp/

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