広告電車とラッピングトレイン
[2010-02-08]
鉄道コラム「鉄学の道」/毎週月曜更新 乗りつぶし率99%の鉄道会社員が 書き下ろす鉄分たっぷりコラム。 自社の貴重でレアな話題も 時折飛び出します? 山手線に乗っていると、車体の外側に広告を貼り付けた電車をよく見るようになりました。いわゆるラッピングトレインです。山手線などに現れたのは、東京都の屋外広告規制が緩和されたここ数年のことですが、車体に広告を施した電車は、路面電車を中心にだいぶ以前から増収策の一つとして存在していました。 当初の広告電車はすべてペイント電車の車体に広告を付けるという発想自体は古いもので、車体に枠を取り付けて広告看板を掲げることは昔からありましたが、車体全部を塗装して広告にする「広告電車」は、1964年に長崎電気軌道で導入されたのが最初と言われています。その後、モータリゼーションの影響で経営が悪化しつつあった全国の路面電車に、ワンマン化に続く収支改善の妙策として60~70年代にかけて普及していきました。 当初はすべてペイントで、検修工場内で職人が塗装していたので手間がかかり、一度塗ったら次に定期検査で工場入りするときまでそのままというのが普通でした。手作業なので、あまり複雑なデザインも無理でした。その後の印刷技術の発達で、フィルムに印刷して貼り付けるという手法が主流になり、写真を印刷するなど、どんなデザインでもできるようになりました。貼ってはがすだけですから作業も簡単になり、数日単位での取替えも可能になりました。 路面電車以外の鉄道線車両では、地方ローカル私鉄で広告塗装の例はありましたが、国鉄では論外、大手私鉄でも何らかのイベントで特別塗装を施すような限られた例のみでした。現在では鉄道内外の規制緩和とフィルム使用による工程の簡略化で、JRを含む各社で見られるようになり、「広告電車」からマスコミ造語による「ラッピングトレイン」へと発展しました。近年はJRや大手私鉄で、自治体などとタイアップした観光キャンペーンなどによく使われています。 |
山本浩(やまもとひろし)。南海電気鉄道勤務。学生の頃から鉄道好きの鉄道会社員の目線で鉄道業界のあれこれを書き下ろす。自社の貴重でレアな話題も時折飛び出します?
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