ターミナルデパートの文化
[2010-01-18]
この阪急百貨店の成功で、東京・大阪の各私鉄ターミナルには次々ターミナルデパートが開業していきます。 昭和9年に東横電鉄渋谷駅に東横百貨店、昭和11年に大阪電気軌道上本町駅に大軌百貨店、昭和12年に大阪鉄道(現:近鉄南大阪線)阿部野橋駅に大鉄百貨店、など電鉄直営店ができる一方、東武と南海は新築したターミナルビルにテナントとして既存の百貨店を入れる形をとり、浅草松屋が昭和6年に、南海高島屋が昭和7年に開店しています。 東武と南海がテナント方式を採ったのは、両者が「列車を走らせるだけでメシが食える」会社で、あえて集客のため自力で百貨店を経営する必要がなかったからでしょう。戦前、鉄道のステイタスはデパートよりずっと高かったのです。 戦後、高度成長の到来とともにターミナルデパートは消費文化の牽引役となり、名鉄百貨店・阪神百貨店・小田急百貨店・京王百貨店などが開業していきました。戦前の電鉄系ターミナルデパートは、三越・大丸などいわゆる「呉服屋系」の老舗とは違う庶民向けの「大衆百貨店」を標榜していましたが、戦後の沿線の発展につれ両者の差は縮まり、むしろ電鉄系デパートは単なる消費だけでなく、ライフスタイルの提示やカルチャー事業などを通じ、沿線文化を形作る担い手の役割も負うようになっていきました。 現在、東京メトロを除く大手私鉄15社のうち本格的ターミナルデパートを持たないのは京成だけ(水戸京成百貨店はターミナルではありません)で、西鉄と南海と相鉄以外は自社系列の百貨店を持っています(なお、以前西鉄福岡駅に直結していた岩田屋百貨店は、西鉄のテナントではなく自社ビルでした)。地方私鉄でも、遠州鉄道、伊予鉄道、高松琴平電鉄などにターミナルデパートがあります(琴電はそのデパートへの過剰投資が原因で経営破綻する羽目になりましたが)。 ターミナルデパートは |
山本浩(やまもとひろし)。南海電気鉄道勤務。学生の頃から鉄道好きの鉄道会社員の目線で鉄道業界のあれこれを書き下ろす。自社の貴重でレアな話題も時折飛び出します?
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