縁起物きっぷいろいろ
[2010-01-12]
合格祈願の入場券としては、JR徳島本線学駅のものが最も有名でしょう。駅名の「学」と入場券を示す「入」が券面に記載されているので、文字通りの「入学」です。合格グッズとして学駅以外でもJR四国本社などで取り扱われているようです。他には和歌山県の紀州鉄道の「学問駅」があり、ここは無人駅ですが隣の駅でやはり合格グッズとして入場券を売っています。ここのは本物の神社のお守りもセットになっているようです。ホームの横には「学問地蔵」まであります。 日本一「ハッピー」な駅、国鉄広尾線幸福駅このような駅名の語呂合わせ的な切符が縁起物として喜ばれるようになったのは、おそらく1970年代に「愛国から幸福へ」がブームになった頃からと思います。幸福駅は北海道・十勝平野南部を走る国鉄広尾線の、板張りホームだけの無人駅だったのですが、昭和48年にNHKの紀行番組「新日本紀行」で紹介されて一躍有名になり、近くの愛国駅からの乗車券が「愛の国から幸福へ」の切符として爆発的ブームを呼び、4年間で1千万枚も売れたそうです。とはいえ長大ローカル線だった広尾線の赤字を解消するまでには至らず、昭和62年の廃線により幸福駅も廃止されました。しかし幸福駅のネームバリューは大きく、駅跡はホームもレールもそのままに公園として整備され、現在も残っています。 地元帯広市もを積極的に観光地化し、平成20年にはNPO法人により「恋人の聖地」に選定され(そこまでするか!)、ここで結婚式を挙げるカップルも多いとか。もともと駅名の「幸福」は「しあわせ」の意味ではなく、幸の字が入っていた地名と福井からの移住者が多かったのに因む「福」の字を合わせたものだそうですが、いつの間にか日本一「ハッピー」な駅になってしまったのです。 本家の幸福駅は廃止されましたが、九州のくま川鉄道には、平成元年に新設された「おかどめ幸福駅」があり、グッズも販売しています。駅名は付近の岡留熊野座神社に由来しますが、「幸福」はこの神社が幸福の神様だから、ということです。だいぶ無理やりの感がありますが、ローカル私鉄の増収努力として理解いただきたく思います。 縁起のいい切符は他にも、狭き門を入る、ということで「狭口(せまくち)駅」入場券(新潟・蒲原鉄道、昭和60年廃線により廃止)、大金が入るようにということで「大金(おおかね)駅」入場券(栃木・JR烏山線)、薄毛の方によろしい「増毛(ましけ)駅」(北海道・JR留萌本線)入場券など、いろいろあります。タレントの名前や自分の名前と同名の駅の切符を個人的縁起物にする人もいます。 あくまで切符の話ですから、ご利益については本人の気持ちの持ちようかと思いますが、せっかく切符を買ってくださったお客様には、何か良いことがありますようお祈りしたく存じます。できれば販売した鉄道会社のほうにも充分ご利益がいただけるとさらにありがたいですが。 鉄道コラム「鉄学の道」過去の記事 ・初詣は電車でお出かけください ・食堂車ノスタルジー ・宴会電車でGO! ・駅だって立派な文化財 ・みんな大好き、鉄道博物館 … |
山本浩(やまもとひろし)。南海電気鉄道勤務。学生の頃から鉄道好きの鉄道会社員の目線で鉄道業界のあれこれを書き下ろす。自社の貴重でレアな話題も時折飛び出します?
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