チョモランマへ
[2009-12-22]
シューマッハブラザースと共に 富士 その後、十代の中盤あたりか、僕は波乗りやカヌー中心のアウトドアライフにどっぷりと浸かっていった。その後オーストラリアに渡ったことで、そのアウトドア活動にはさらに拍車がかけられたのだ。ロッククライミングをしに山に頻繁に出掛け、海・川・山と、実にバランスよく遊んでいった。そんな中、カヌー競技に目覚めた僕は必然的に水面にいることが多くなり、心にあったチョモランマへの想いは次第に減退していったのである。 しかし、帰国後に始めたエクストリームアイロニングにおいて、僕のチョモランマへの想いはまた再燃し始めたのである。そこにはラインホルト・メスナー氏という偉大な登山家の影響もあった。軽装&無酸素スタイルにて世界の8000m級の山々の頂を踏んできたメスナー氏。その精神は、僕の考える山岳エクストリームアイロニングのあるべき姿と見事にリンクした。 僕は彼の関連著書を探し、それを貪るように読み漁った。己の限界に挑戦し、それを成し遂げるという究極のナルシズム。エクストリームアイロニングと限界登山との接点は、まさにそこにあると僕は感じたのである。神々の領域ともいえるチョモランマにて、僕もエクストリームアイロニングの真価を自らの肉体で問うてみたい。こうして、エクストリームアイロニングにおける僕の目標は、チョモランマ山頂でのアイロン掛けとなったのである。 ちなみに、今まで僕が行った山岳系アイロニングでの最高到達地点は、日本が誇る富士山の頂、剣が峰でのアイロニングである。あそこでのアイロン掛けに理屈はいらない。まずは山頂で山に敬意を表し、そこでなくなった方々に哀悼の念を表す。それから携帯コンロでアイロンを温め、自然に身を委ねながらアイロンを握り、そして無心で黙々とシワを伸ばした。興奮の中にいながら感じた確かな平常心。それはどこまでも自己陶酔的な超ナルシスティック世界であり、しかし今まで行ったアイロニング経験の中では、その体感効果はまさに頂点であったと記憶している。 自然を前にすると人間はいかにも無力だが、僕は少なくてもアイロンがあれば平常心が保て、冷静な自分を保持することが出来る。それを、僕は富士山頂にて実際に体感し、確実に実証してみせた。そこから、僕の山岳アイロニングはまた少しずつ進化していったように思う。 僕のようなテイタラクアイロニストが、チョモランマのような極限下で冷静な判断を下し、より正しい行動をとっていく為には、逆にアイロンとアイロン台があったほうがいい。高度5000Mを超えてくると、高山病や低酸素による様々な意識障害などに見舞われやすい。そのような究極の状況下で、いかに鉄の平常心を保ち、冷静な自分を維持しながら山頂を目指すのか。そこでアイロニストである僕に必要なことが「アイロン掛け」なのである。 |
松澤等(まつざわひとし)。サーフィン、カヌー、山登り、ロッククライミングなどのスポーツを経て2004年、エクストリームアイロニングジャパン(EIJ)発足。高い身体能力とユーモアセンスを取り入れた活動内容で国内のEI人気を着実に向上させている
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