オリジナルを大切にする
[2009-12-14]
文房具の良さを語るのに、歴史やストーリーはいらない。 オンラインショップ「信頼文具舗」の和田哲哉氏が、 「良い」文房具と共に暮らす魅力を伝える信頼コラム。 いままでいろいろな文房具を見てきましたが、私はこれら製品を評価する際の心のよりどころのひとつとして、「最初に出会ったものを大切にする」という気持ちを挙げてみようと思います。 文房具を含め世の中のほとんどの工業製品は、その成り行きが企業の経営方針に左右されます。当然、利益の向上のために日々開発や変更が施され、新しい製品、あるいはバリエーションが生まれてまいります。しかし、後から出た製品が必ずしもユーザーにとってメリットがあるかというと、そうでもありません。ヒットした商品のブランドをかぶせただけの、販路を広げたり売場の占有比率を上げる目的の安直な企画物だったり、コストダウンを主眼に作られた物だったりもします。新しく登場した製品がそういう使命を背負ったものであろうと分かったとき、私は本当に残念な気持ちになります。 最初に創案され、多くのユーザーに支えられた製品には、やはりそれなりの独創性と、開発者の苦労、ときに偶然とか運命など少々神がかったようなタイミングなども伴って生まれたものが多いと思います。もしそんな初期モデルに宿る「大切な部分」がちゃんと守られつつ、本当の改良が施された新型やバリエーションが生まれれば、これほど幸せなことはありません。しかし、例えば初期モデルの開発当時とは違う心ない担当者(または経営者)に引き継がれ、オリジナルの良さがなおざりにされた製品が生まれてしまうという事例も少なからずです。これは文房具に限ったことではありません。電気製品でも自動車でも、日々大量に登場する「新型」の中に、首をかしげたくなる内容のものは結構あります。 もうひとつ気になるのは、「新型」イコール「改良されたもの」という先入観に立って記事を書く人の存在です。十数年前の一部の自動車ジャーナリズムにはそういった傾向が顕著でした。製品の記事はメーカー(あるいはスポンサー)からの協力なしには成立しない時もありますので、執筆の際のスタンスは大変難しいところではあります。私自身も注意していますが、読み手の皆さんもフィルターを掛けて読まれることをおすすめします。 |
文房具をテーマにしたサイト「ステーショナリープログラム」主宰。オンラインショップ「信頼文具舗」店長。常にユーザーの視点に立ち、良質な文房具の普及に努めている
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