西表島アイロニング紀行
[2009-12-08]
このトレイルでは走ろうかと思っていたが、予想以上に木々が迫る狭いトレイルだったので、小枝などを避けながら普通に滝の上を目指すことにした。それにしてもここは小さなトカゲが多い。特に尻尾の先がコバルトブルーのトカゲは、滝の上に着くまでひっきりなしに目撃した。 そして周りには普段目にすることのない珍しい木々や草花も多かった。途中、シダが密生している場所もあったりして、道中なかなか楽しいトレッキングであった。ひとつのピークを越えると、左からいきなり滝が流れる音がした。その音を頼りに急勾配なトレイルを下っていくと、そこがピナイサーラの滝の上部だった。滝の真上からの展望は雄大で、眼下に広がる熱帯雨林とマングローブ林、そして、その先に広がる美しいサンゴ礁が見事だった。ここで存分に水浴びしてクールダウンした僕は、さっそく携帯コンロでアイロンを温め、アイロニングを開始した。 身体全体に感じるマイナスイオン。鼻孔を突く洗濯石鹸の甘い香りと、熱帯雨林の甘い香り。聴覚を突く滝の音、そして様々な野鳥の鳴き声。そして眼下に広がる緑と青のコントラストが、伸びていくシャツのシワと共に視覚に語りかけるこの瞬間。まさに五感すべてで感じる大自然の息吹きに、いつしか僕は西表島と一体化したのだった。 原始の森や海が広がる西表島で、僕はタイムマシンで古代にやってきたかのような錯覚に陥った。浴世的なものを感じないこの神聖な島で、僕のストレスは自然と発散し、驚くほどやすらかな気持ちになっていった。西表島でのアイロニングを一言で表すのは難しいが、ここのような環境では、アイロニングのような特異なツールなどなくても、十二分に自然の奥深い芸術性を垣間見ることができるのは確かである。野生動植物たちの聖地。西表島。ここは、これからのエクストリームアイロニングの在り方を考えさせられる島でもあった。 まだ見ぬエクストリームアイロニングの進化と共に、これからはもっと貪欲に自然環境とアイロニングとの接し方についても考えていきたいと思う。それが僕の西表島でのアイロニングで得た答えだ。もしかしたら、自然環境に満たされ尽くすこの島では、自然を楽しむスパイスのひとつであるアイロニングなんて、まったく必要ないのかもしれないと、僕は本気で思ったりもした。事実、この後に行った屋久島では、濃厚な自然環境の前に僕は見事にひれ伏し、完全にアイロン掛けを封印したのである。 西表島。ここは自然に触れるのには純粋にいい島だった。近いうちにまた是非訪れたいと思える島である。しかし、ここにまたアイロンセットを持ち込むかどうかは分からない。この島の自然を前にすれば、アイロニングも猥雑にさえ思える瞬間があるのだ。そして、この島の自然には、どんな影響も極力与えるべきではない気が僕にはする。ここは、日本人が心から誇れる野生の島であり、この環境のまま後世まで残すべき宝の島なのだから。こういう地道な経験の積み重ねにより、エクストリームアイロニングは、その感覚と行動において更なる進化を遂げていく。これからも積極的な蒸気的行動あるのみである。 皆さんも是非一度西表島へ。遠いけど、行く価値は十分にある。今はまだ屋久島ほど混んでもいないことも利点であろう。ここの野生を味わえば、誰しも心に沁みる体験ができるはずだ。たとえ、そこでアイロニングをしなくても。 KEEP THE IRIOMOTE CLEAN.
松澤等の「エクストリームアイロニング」過去の記事 ・蒸気的ベスト写真展 ・ベストショットを狙え! EI的撮影テクニック ・二刀流アイロニングへの挑戦 ・守るべき俺たちの自然 ・背中で感じろ! アークテリクス&グレゴリー … |
松澤等(まつざわひとし)。サーフィン、カヌー、山登り、ロッククライミングなどのスポーツを経て2004年、エクストリームアイロニングジャパン(EIJ)発足。高い身体能力とユーモアセンスを取り入れた活動内容で国内のEI人気を着実に向上させている
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