西表島アイロニング紀行
[2009-12-08]
今回、僕が目指す場所は「ピナイサーラの滝」である。ここは比較的行きやすい滝で、多くのツアーもこの滝を目指すと、昨日知り合った山岳ガイドさんが言っていた。行程としては、まずはカヌーで川をさかのぼり、そこからトレッキングにてピナイサーラの滝壺、及びその滝の上部を目指す、というものだ。 今回借りたカヌーは「シット・オン・トップスタイル」で、とにかくバランスが抜群にいいファンカヌーである。僕は2人乗りを借り、前部シートにアイロンセットやザックを置き、後部シートにて座って漕ぐ、というスタイルにした。アイロニストは荷物が多いので、2人乗りで単独、というスタイルがちょうどいいのだ。 カヌー歴の長い僕にとって、カヌーは時に陸よりも自由になれる乗り物である。低い視線で川面をすべるように進むカヌーは、自転車よりも静かで、歩くよりも衝撃がない快適な乗り物なのだ。マングローブが迫る汽水域のヒナイ川は雰囲気も良く、僕はかなり気持ちのいいスタートを切ることが出来た。聞こえるのは、虫の声、パドルが水を切る音、そしてマングローブを抜ける風。それだけだった。こんな贅沢な環境は久しぶりである。同じ星に錦糸町という町が存在するのがまるでウソのようなこの自然環境に、僕は心から酔いしれた。うっそうと生い茂るマングローブ林や、ちょっと気になる岩場など、寄り道を繰り返しながら僕はゆっくりとヒナイ川をさかのぼっていった。 ここでは、ピナイサーラの滝に向かうトレイルの入り口までカヌーでさかのぼれるのだが、地図を見ると、それは本気で漕げばあっという間に着きそうな短い距離であった。なので僕は急きょ「ジャックナイフ・アイロニング」という競技系アイロニングの練習を、カヌーに乗ったまま少しやってみることにした。 エクストリームアイロニングの世界大会では「ウォータースタイル」という川のシチュエーションでアイロン掛けを行うポイントがある。そこではカヌーを使うことも許されているので、今までもカヌーに乗ったまま技の練習を行う時が度々あった。西表島で競技練習をやろうなどとはまったく思っていなかったが、久々に味わうこの濃厚な自然が、僕のアイロニング的モチベーションを一気に急上昇させてしまったことは間違いない。時間もまだたっぷりとある。遠くピナイサーラの滝が見えるこのヒナイ川の川面にて、僕はしばし競技練習に汗をかいた。 競技練習を終え、その後、カヌーで遡れるギリギリのところまでカヌーで行った後、そこでしっかりとカヌーを木に結びつけた。ここからはピナイサーラの滝の上を目指してのトレッキングである。10月中旬で気温30度の真夏日。カヌーを降りてすぐ蚊に刺されたが、そこから夏を感じた僕は、蚊の存在がなんとも嬉しかった。山に持っていく装備を再確認し、露出した肌にたっぷりと防虫剤を塗ってから、僕はピナイサーラの滝に続くトレイルに入っていった。 |
松澤等(まつざわひとし)。サーフィン、カヌー、山登り、ロッククライミングなどのスポーツを経て2004年、エクストリームアイロニングジャパン(EIJ)発足。高い身体能力とユーモアセンスを取り入れた活動内容で国内のEI人気を着実に向上させている
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