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駅だって立派な文化財

[2009-12-07]

 重文とはいかなくても、ワンランク下の登録有形文化財の駅舎は結構あり、私鉄の駅舎もたくさん登録されています。私鉄の駅には、東京や上野のように壮大な駅舎はほとんどありませんが、寺社の門前の駅に寺社風建築を採用するなど何らかのテーマ性を持たせたものや、小さくてもすっきりしたなデザイン性に優れたものなど、味のある駅舎がいくつもあります。

 南海電鉄では浜寺公園・諏訪ノ森・高野山の3つの駅舎が登録文化財になっています。

 浜寺公園駅は、東京駅丸の内駅舎と同じ辰野金吾博士設計の、築後既に百年を超える木造洋風建築、諏訪ノ森駅は粋なステンドグラスのある小さな洋館風、霊峰高野山の玄関口である高野山駅は、洋風建築ながら寺院風の屋根を乗せた和洋折衷と、三者三様ですがいずれも新築当時とほぼ変わらない姿を残しています。

浜寺公園駅舎
浜寺公園駅舎(クリックで拡大)
 文化財駅舎が3つもあって、しかも全部現役というのはJR以外では南海ぐらいでしょう。浜寺公園と諏訪ノ森のある堺市は文化財も多いですから、文化財巡りの途中でこの2駅に寄る人もいるようです。

高野山駅舎
高野山駅舎(クリックで拡大)
諏訪ノ森駅舎
諏訪ノ森駅舎(クリックで拡大)


文化財の登録基準と価値観


 文化財になる駅舎は、何もデザインの美しいものとは限りません。建った当時は何の変哲も無い駅舎だったのが、同時期に建ったものが次々に建て替えられ、いつの間にかある時代を代表する典型的駅舎建築として希少価値が出た、という例もあります。機能最優先で設計された鉄とコンクリートとガラスの無味乾燥な駅舎へのアンチテーゼという意味合いもあるでしょう。たしかに古い木造駅舎にはビル型駅舎や橋上駅にない落ち着いた味わいや旅情を感じさせるものがあります。都会にある木造駅舎は、周囲の環境と比べて「癒し」さえ感じられます。

 とはいうものの、駅はやはり駅です。旅客に安全快適に乗降してもらうという機能が保てなくなれば、どんなに美しい駅舎でも建て替えはやむを得ません。欧州の駅は19世紀の建物がそのまま使われている例も多く、主要駅の壮大な建物は見る者を圧倒しますが、もともと巨大に作られた欧米の駅と異なり、狭い国土に多くの人口が張り付いているうえカネも無かった昔の日本の駅は、大体が狭い用地にギリギリの設計で建てられており、乗降人員の急激な増加に対応できず、建て替えを繰り返してきたのです。

 もっとも、高度成長期にあまりに無味乾燥な駅ばかり作った反省からか、80年代以降はデザインに凝った駅舎が続々と現れました。そのかわり、漁港町にスペイン風の駅を作ったり、河童や土偶に似せた建物にしたりと、「カンベンしてくれー」と言いたくなる駅舎もできてしまいました。駅舎は、機能性に加えて、周辺環境との調和も忘れてはいけないと思います。現代のこれらの駅のうち、100年後に文化財になっている駅舎はどれだけあるでしょうか。





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鉄学の道

山本浩(やまもとひろし)。南海電気鉄道勤務。学生の頃から鉄道好きの鉄道会社員の目線で鉄道業界のあれこれを書き下ろす。自社の貴重でレアな話題も時折飛び出します?

→  http://www.nankai.co.jp/

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