blog banner

続・電車の足元、線路の幅の話:幅が違っても走ります

[2009-11-16]

鉄道コラム「鉄学の道」/毎週月曜更新

乗りつぶし率99%の鉄道会社員が 
書き下ろす鉄分たっぷりコラム。

自社の貴重でレアな話題も 
時折飛び出します? 



 先々週先週から3回連続となりますが、線路の幅の話の続きです。軌間が同じで車両限界がクリアできれば、違う鉄道にも車両を直通させられます(実際にやる場合は、様々な仕様調整が必要ですが)。しかし、軌間が違う鉄道へどうしても直通したいときはどうすればいいでしょう?


一方に合わせて軌間を改軌する


 最も単純な方法は、一方の路線の軌間をもう一方に合わせて変更する、改軌です。京成電鉄が都営地下鉄・京浜急行と相互直通運転するにあたり、1372mmだった京成が、京急に合わせて標準軌に改軌しました。近鉄も、昭和34年に1067mnmだった名古屋線を大阪線に合わせて標準軌に改軌しています。最近では、山形新幹線と秋田新幹線が、東北新幹線との直通運転のため、在来線を改軌する形で開業しています。

 ただし、改軌は線路の全面交換となり、ホームや信号機の改造・移設なども必要なので、工事が非常に大規模です。普通は工事区間をいくつかに分け、区間毎に順次施工し、工事中は列車を運休してバス代行するやり方をとります(近鉄の場合は、伊勢湾台風の災害復旧に合わせて一気に施工するという「災い転じて福」の離れ業を演じ、語り草になっています)。大掛かりなだけに、輸送量の多い現在の都市近郊では、おいそれと実施できない方法です。


狭軌用のレールをもう一本敷く3線レール方式


 一部区間だけ直通したい場合は、広いほうの線路の間に狭軌用のレールをもう一本敷く3線レール方式があります。1067mmの小田急が1435mmの箱根登山鉄道に乗り入れるため、小田原~箱根湯本間を3線化したのが最も有名です(現在は入生田~箱根湯本間のみ3線になっています)。短区間ではいくつか例があり、青函トンネルでは新幹線・在来線共用にするため現在工事中ですが、ポイント(分岐器)の構造が複雑になるのと、レールの磨耗が偏るという欠点があります。

 海外では、車両で対応することが多く行われています。日本では普通鉄道に標準軌より広い軌間は使っていませんが、旧ソ連圏では1520mm、スペインでは1668mm、が使われており、標準軌の各国鉄道への国際直通列車は国境駅で台車交換を行います。車体を持ち上げて広軌用の台車と標準軌用の台車を入れ換えるわけで、専用施設と要員が必要で時間も手間もかかるため、運行本数が多いと対応できなくなります(日本では近鉄が、車両検修工場を大阪線の五位堂と名古屋線の塩浜に集約しているため、1067mmの南大阪線の車両は、工場検査のときは橿原神宮前駅構内の台車交換施設で標準軌用の仮台車に換えて回送しています)。

ロシア方面からベルリンに到着した国際列車。ベラルーシやロシアの客車を連結。
ロシア方面からベルリンに到着した国際列車。ベラルーシやロシアの客車を連結。(クリックで拡大)


鉄学の道

山本浩(やまもとひろし)。南海電気鉄道勤務。学生の頃から鉄道好きの鉄道会社員の目線で鉄道業界のあれこれを書き下ろす。自社の貴重でレアな話題も時折飛び出します?

→  http://www.nankai.co.jp/

↓ トラックバック一覧(0)

トラックバックアドレス(URL)

http://www.kakurega-online.com/blog/trackback.php?idx=222


男の隠れ家 1月号
男の隠れ家1月号 
ニッポン、ライブハウス伝説

日本のライブハウスの始まりから現在、必聴・必見のライブハウス名盤60選、こだわりのオーディオの世界 ほか