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金曜日限定の手挽き粗挽き十割蕎麦をめざして……埼玉県日高市を歩く

[2009-11-13]


昼過ぎの蕎麦屋で「飲んでつまんで蕎麦を手繰る」を喜びとする 
蕎麦ライターが、本誌「男の隠れ家」の蕎麦特集で掲載しきれなかった 
お薦めの蕎麦屋をご紹介
。蕎麦にまつわるレアな蘊蓄話も。



 秋晴れの一日。ウォーキングを兼ねて郊外の蕎麦屋に行くことにした。選んだのは埼玉県日高市の「百日紅」高麗の里をのんびり歩いて、お目当ては金曜日限定の粗挽き蕎麦だ。

 最寄り駅はJR八高線「高麗川」駅。線路の東側の最短ルートを歩くと約40分。せっかくなので西側に広がる高麗の里を歩くコースを考えた。

 用意した地図を忘れたが、何度も訪れているので、記憶を頼りに聖天院、高麗神社の辺りを歩いた。高麗は奈良時代の初めに渡来人が移住した地。いつ来ても歴史のロマンなるものを感じて心がときめく。

 約1時間半かけて、石臼碾き手打ちそば「百日紅(さるすべり)」に到着。工場と畑に囲まれた平屋の店は相変わらずだった。靴を脱いで上がると、座敷に座って一杯飲んでいるお方が……。

「百日紅(さるすべり)」
「百日紅(さるすべり)」(クリックで拡大)


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「百日紅(さるすべり)」店内。(クリックで拡大)
 蕎麦食べ歩きの達人・太野祺郎さんだった。聞けば、西武線武蔵横手駅から約3時間、山歩きをして着いたとか。さすがは三百名山登頂を達成した山の達人。金曜日限定の粗挽き蕎麦を食べに来たそうだ。太野さんを倣って早速、埼玉越生酒造の「来陽 野武士」を冷やで。歩いた後の酒はやはり旨い。疲れた身体がほぐれるようだ。

 脱サラの蕎麦屋さんは辺鄙な場所に出店することが多い。自分のペースでのんびり仕事ができるし、資金力がなくても店を持つことができる。自宅で開業するのが典型的なケースだ。しかし、客の側から見ると、アクセスが悪く、車で行くと酒が飲めないので、おいそれとは行きにくい。

 蕎麦屋に行くなら、歩く楽しみも知って遠くの蕎麦屋さんにも行ってほしいと常々勧めている。歩いた後には蕎麦前を呑んで最後に蕎麦を手繰るという、極上の時間を過ごせるのだが、残念ながら実行する人は少ない。今のような季節にこそ、郊外の蕎麦屋にウォーキングがてら行ってほしいものだ。

 この店は2年前の「男の隠れ家」本誌の蕎麦特集で紹介した。ご主人・細野忠彦さんはサラリーマン時代から趣味で蕎麦打ちを楽しみ、早期退職後に「江戸東京そばの会」で本格的に勉強して、2005年に開業した。取材時には、粗挽き蕎麦への熱い思いがひしひしと伝わって、とりわけ印象的なご主人だった。

阿部 文枝

阿部文枝(あべふみえ)。昼過ぎの蕎麦屋で「飲んでつまんで蕎麦を手繰る」を喜びとする蕎麦ライター。本コラムでは、本誌「男の隠れ家」の蕎麦特集で掲載しきれなかったお薦めの蕎麦屋を紹介する

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