「ビートルズでメシが食いたい」から始まった−ファンの心を保ち続ける音楽誌編集者のプロ魂 - 藤本国彦(ビートルズ愛好家)

[2009-11-18]

リマスター発売。8時間ぶっ通し試聴


 CDソフトの売上が落ち込む中、今年驚異的ともいえるヒットを飛ばしたのが、ザ・ビートルズのリマスター盤。9月にリリースされるや、高額の2種BOXセットがアルバム・ランキングのトップ10内に飛び込み、14枚のオリジナル・アルバムがいずれも100位以内にチャートインする快挙を達成した。言わずもがな藤本氏はリリース日にリマスター盤を入手。

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「仕事で今回のリマスター213曲のどこがどう変わったのかを書こうと思い、ぶっ通しで聴いたんですよ。大音量で。さすがに耳がおかしくなりました。最後の一枚『アビイ・ロード』の頃には音質も関係なくなって、リマスター盤なのにリマスター盤ではなくなってしまいました(笑)」

 聴き続けること8時間。仕事だったとはいえその集中力は尋常ではない。

「ビートルズに関しては、今やほとんど義務のように何でも買いますね。リマスターBOXも日本盤とEU盤と米国盤、それぞれステレオとモノを買いましたから、もうアホですね(笑)。『同じアルバムをどうして何枚も買うんだ?』とよく言われますが、『同じだけど、同じじゃないんだ』と答えます(笑)」


オタクになる必要はない 単純に “かっこいい” でいい


 ご存じのとおり、ビートルズは1960年代に世界中を席巻し、最大級の成功を収めたバンド。ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターのメンバー4人は62年から70年までのわずか8年の間に、213曲を残して解散した。初歩的な疑問だが、藤本氏から見たビートルズの良いところは何なのか。

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「まず、単純に曲がいいし、歌詞もいいですよね。録音された音の質も優れているので、曲そのものが廃れない。また、ビートルズは8年の活動期間中、同じことを繰り返さないんですよ。外見もそうですが、音作りの点でもどんどん冒険し、変化していく。そこが面白いところですね」

「また、ビートルズの楽曲は基本的に一つのバージョンです。今のアーティストはバージョン違いの同じ曲をいろいろ出しますし、出せますが、ビートルズは時間の許す限り突き詰めて一つの曲をアレンジし、その曲に一番ふさわしいかたちで発表していますから、ベストのものができるんです」

 解散から40年近くを経てもなお人気が衰えないのは、その完成度の高さゆえなのだろうか。

「聴く度に毎回発見があるんですよね。今回のリマスター盤を聴いても『ここにこんな楽器の音が!』という発見があった。まあ、あまりオタク的というか理屈っぽく聴くのもどうかな、とは思いますけれど。音楽は単純に “かっこいい” とか “好き” で良いものですから」


毒のあるキャラクターにも惹かれる


「最初は音楽のかっこよさに惹かれたんですが、関連書籍を読んでみると、今度は4人のキャラクターが面白いなと思えてきて。写真でも見た目がそれぞれに面白いなと思えましたが、何より彼らの発言が面白い。当意即妙、ユーモアがあって毒がある。有名なエピソードでは、ベートーベンが好きかと訊かれてリンゴ・スターが『好きだよ、特に詩がね』と答えたり、デビューのセッション時、ジョージ・マーティン(プロデューサー)に『何か気に入らないことはあるか』と尋ねられ、ジョージ・ハリスンが『あんたのネクタイが気に入らない』と答えたり(笑)。当時の彼らにとってジョージ・マーティンはお偉いさんなんですが、大げさに言うと、彼らは権威に屈しない。言いたいことをユーモアを交えて言う、そういうところも含めて魅力的でしたね」

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