最後の同潤会アパートメント
[2009-11-04]
大きな銀杏の木がそびえる上野下アパートメント。 凄い。何というか、迫力が違う。竣工当時のままであろう窓枠や雨樋の錆びた風合い、風雪を耐えたコンクリートの表情、ほの暗い階段室の風情……うぅ、渋い。前庭にそびえる大きな銀杏の木も、この場所に流れた時間と歴史を物語っています。 写真◎兼平雄樹 共用の正面玄関部分にはかつての管理人室(現在は集会所)、棟ごとの階段を上がると共用廊下の脇には水場やトイレ、そして引き戸の居室たちが続き、最上階には共用の洗い場とさしずめ屋上庭園とでもいうべき共用広場。椅子やテーブルがあったり、洗濯機があったり、きっとここが「コミュニティの場所」なのでしょう。ここでビール飲んだら気持ちいいだろうなぁ。「凄いなあ、こうなっていたのかぁ、凄いなぁ」と、歩き回りつつうっとりとする私。 「いや~でも地震が来る度にヒビは増えますし、ガスも建築当時のものだから管がやぱいっていうんで……大変といえば大変ですよ」と案内して下さった某氏。 ちなみに6畳ひと間の部屋を覗かせていただいたところ、もちろんトイレ風呂炊事場なし。ガスの口が壁から一本出てはいますが、前述の通り使用していないそう。暮らしやすそうかといわれれば、いーやと首を横に振ってしまうかもしれないけれど、近くに銭湯もあるし、そんなに料理作るのが好きじゃなければ苦では無いのではと思われます。 にしても、漆喰壁のちょっとした細工や階段室の雰囲気などはまるでパリーのアパルトマン。なんでこうも味わい深いのか戦前建築。美し過ぎる。 今回の特集に際して、同潤会の写真を撮り続けていらっしゃる兼平雄樹カメラマンにたくさんのお写真を見せていただきましたが、この上野下アパート以外はすべて取り壊されたそうです。今は兼平氏の写真でその美しい佇まいをしのぶことしかできません。確かに老朽化の問題など、難しい諸問題はあると思いますが、住まないで眺めているだけの身としては「いかにももったいない・・・」と思ってしまうのであります。仕方がないのかなぁ。もっと古い木造建築とかは保存されたりするのに、こういう建物はあっさりと壊されてしまうものなのか・・・。 ちなみに同潤会アパートですが、八王子にあるUR・都市住宅技術研究所内にある「集合住宅歴史館」で、その姿を見学することができます。移築復元されているのは、昭和2年に入居開始となった代官山アパートの居室2室。ぜひ一度、その佇まい美を愉しみに足をお運び下さい。併せて、兼平カメラマンのホームページでも、鼻血が出そうに美しい写真がたくさんアップさせております。こちらでぜひ、その風情を感じていただければ幸いです。頑張れ、古い建物たち!! アパートメント ウェブ フォト ギャラリー 男の隠れ家 NEXT ISSUE 2009年12月号は12月27日(火)発売です。 ※内容は変更する場合があります。
「男の隠れ家編集部です」過去の記事 ・中高年登山ブームの仲間入り ・日本中が熱狂した昭和の大イベント 大阪万博 ・昭和の “闇市酒場” よ 永遠に ・そこに現れたのは、まさに昭和! 旅は道づれ世はなさけ ・絶景、燕岳! … |
「男の隠れ家」本誌では語ることの出来ない取材裏話や追加情報、はたまた個人的な四方山話まで、何の役にも立たないコラムを連載します。どんな奴が「男の隠れ家」を作っているのか、興味のある方はどうぞ寄ってらっしゃい。
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