天日干しを手挽きに・・・あくなき探究心で飛躍した新進気鋭の蕎麦職人に出会う(後編)
[2009-10-09]
いよいよ、締めの蕎麦である。「今の生粉打ち」「昔の田舎」の2種。 (クリックで拡大) 生粉打ちは福井丸岡在来を微粉に挽いて細打ちにした。しなやかなコシがあってするりと手繰れる。 田舎は金砂郷産の常陸秋そばを玄蕎麦から手挽きにして、つなぎを少し入れた。黒っぽくホシが散らばった蕎麦を手繰ると、常陸秋そば特有の香りと穀物っぽい味が押し寄せるが、えぐみが少ない。やさしい味わいなのは手挽きの特徴だとか。もちもちした食感が強い。そばつゆはそれぞれに2種類用意している。生粉打ち用は薄めのすっきりした味。田舎用はたまり醤油を使った濃めのつゆだ。返しを4種類作ってブレンドしている。 蕎麦で鈴木さんがこだわっているのは「天日干し」だ。「はじめて天日干しを食べたのは『ほそ川』さんだった。美味しい、また食べたいと思う蕎麦は今でも天日干しの蕎麦。手挽きにするのは天日干しを生かすため」という。はじめに手挽きありきでなく、天日干しを美味しくするための方法として手挽きを選んでいるという。 「これからも蕎麦とだしと野菜を組み合わせて味わってもらいたい。身体にいいローインパクトな食べ物をめざしたいですね」 これだけの劇的進化を遂げながらも、金砂郷に2時間かけて通い、毎年蕎麦の自家栽培を続けてきた。今年からはじめて一人で栽培をすることに。今はちょうど蕎麦の花が咲いている頃。今年の蕎麦の出来栄えが気になるところだ。 手打ちの蕎麦屋さんは仕事を続けているうちに、それぞれの方向性が見えてくる。自家栽培、石臼や製粉、料理・・・それぞれ蕎麦以外にこだわりが生まれるものだが、そのすべてに興味を持ち、一人で実践しているのは稀有な例であろう。まだまだ聞きたいことがたくさんある。これからも進化の過程を見守っていきたい蕎麦屋さんだ。
阿部文枝の「ほろ酔い蕎麦屋めぐり」過去の記事 ・天日干しを手挽きに・・・あくなき探究心で飛躍した新進気鋭の蕎麦職人に出会う(前編) ・こっそり通いたくなる空間と蕎麦 住宅街の隠れ家蕎麦屋が新たに開店! ・那須の在来種か?旅先で出会った「那須野秋そば」を食する ・「ソバリエ」とは何ぞや。山形の「ソバリエ」の掟を心の片隅に置いて蕎麦を手繰る ・長野で80歳の女性蕎麦打ち職人に出会って、「蕎麦コラム」再開の決意を新たにする |
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