筆記具の顔「ペンクリップ」を味わう。(前編)
[2009-08-31]
なにはともあれ、ペンスタンドや筆箱から筆記具をざっくりと取り出し、机の上に並べてみることにします。まず最初に目に付いたのがビック(BIC)のボールペンでした。ビックはフランス発祥の会社。オレンジ色の軸に黒のキャップ。これがビックの名を世に知らしめた、代表的な製品です。 ペンクリップは黒い樹脂製キャップから生えた小さなもので、胸ポケットでまっすぐ収まる機能だけを満足させたという感じ。私はこのボールペンを見ると、なぜか同じフランスの、いにしえの名車「ルノー4」を連想します。ルノー4は半世紀近く前のクルマ。基本機能と生産性も確保しつつ、普遍的かつ完結したデザインを備えた工業製品という共通項を両者に見いだしています。 余談ですが、BICのこの製品が現代でもまったく通用するカタチなのですから、ルノー4だって、いま作られていてもおかしくないクルマ。ルノー/日産で復刻しないかなあ。 立派に万年筆の存在感 ぺんてるのプラマンこんどは日本の製品を見てみましょう。特殊な樹脂製のペン先を持った万年筆。ぺんてるのプラマンです。プラマンは私が以前からずっと愛用している筆記具。プラマンについては、私も執筆に加わった「頑張る日本の文房具」(ロコモーションパブリッシング刊)の取材で、開発者のおひとりに直接お話をうかがったことがあります。 初期のモデルは手ごろな価格の万年筆というコンセプトのもとで開発されたそうで、当然コストの制約は厳しかったはず。万年筆の命であるペン先を金属製から樹脂製に切り替え、軸本体もベーシックな構成に。しかし、ペンクリップは凝ったデザインの金属製で、しかも使いやすい実用的なものが備わっています。筆記具の顔となりうるペンクリップの事を大切に考えたのでしょうか。胸のポケットにさしたときの充分な存在感は、自身が万年筆の一員であることをしっかりと示しているかのようです。 クリップ部分に着目して、プラマンと何か共通点を感じる製品が手元にありました。ドイツ・シュナイダーのXTRA894です。これは極細のペン先を備えたローラーボール、つまり水性インクのボールペンです。 ふつう、ローラーボールは安価なもので200円前後の製品。でもXTRA894はその2倍近くの価格になります。インクカートリッジを備えない「使い切りタイプ」ですが、収容するインクの量は多く、内外の部品も比較的コストを掛けて作られていて、ローラーボールとしてはワンランク上の製品に位置づけられています。ペンクリップもそのポジションを示すごとく、大型で使いやすい金属製のものが奢られています。 この、ペンクリップで製品の位置づけを示そうとする取り組みが、プラマンと近似していると思ったのです。プラマンは海外でも人気の製品。もちろんドイツのお店でも見かけることができました。ですので、XTRA894の商品企画に、プラマンの存在も少なからず影響を与えているのではないでしょうか。 と、なんだかマニアックな方向に走ってしまいました。でも、クリップを見て筆記具を考えるの、結構楽しいです、、、よね? |
文房具をテーマにしたサイト「ステーショナリープログラム」主宰。オンラインショップ「信頼文具舗」店長。常にユーザーの視点に立ち、良質な文房具の普及に努めている
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