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松澤等、浮上せず! 水中アイロニング

[2009-08-25]

僕が最初に水中にてアイロニングを行った場所がある。忘れもしない、そこは千葉県は外房にある御宿海岸であった。11月の波の穏やかな平日。シュノーケリングギアをつけた僕は、アイロンセットを持って防波堤から勢いよく海に飛び込んだ。水深は約3m前後。海に飛び込んだ後、しばらくアイロンと台を持って立ち泳ぎしながら、防波堤の影にある流れが緩やかな海底を目指していった。アイロン台がやけに重く、そのおかげでスムースに海底まで潜ることが出来た。

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なんとか海底に台を置き、いざシャツをセットしてはみたものの、シャツがとにかくふわふわと海中を漂ってしまう。それをアイロンで押さえつけながら、なかば強引にアイロン掛けをしていった。息が続かず、何度も海面に顔を出しては、アイロン台に戻ってのアイロニング。結局、アイロン掛けはほぼ成立しなかった。水の中でアイロン掛けをしても、シワが伸びるのはその一瞬だけで、水からシャツを引き上げたらとんでもない事になっているのだった。

水中からびしょびしょになったアイロンやアイロン台を引き上げ、海水をたっぷり含んだシャツを絞りながら、当時、僕は水中でアイロン掛けする意味を考え、それなりに深く悩んだものである。水中では「考えずに感じよう」と思っていたが、やはり考えてしまうのが人間なのだ。

最初は、このように苦々しいスタートを切った水中アイロニングだが、まあ一度や二度ではその真髄など分かるはずもない。最初の経験でもなぜかめげなかった僕は、とりあえずもう少し水中でやってみようと思った。世界では当たり前のように水中でのエクストリームアイロニングが行われている現状を考えると、このスポーツで常に世界標準の維持を意識していた僕は、ある意味水中アイロニングに関してはまだ引くに引けない状況だったともいえる。

それから、僕は何度か水中でのアイロン掛けを遂行した。伊豆や千葉の海、または神奈川の相模湾において、釣りや波乗りの合間に、かなり精力的な活動をしていった。その証拠に、相模湾では船を使ってのダイビングアイロニングも敢行した。ダイビングギアをつけてのアイロニングでは、そこで得るそれなりの効果も徐々に感じるようになった。そして素潜りでも何度となく水中アイロニングの経験を積んだ。こうして徐々にではあるが、水中でシワを伸ばす意義を感じるようになっていったのである。

海中では興味深い現象にも遭遇した。通常、海にはカレント(潮流)があり、場所によってはアイロン台の固定にひときわ苦労した。驚いたのは、一時間ほど台を海底に置いておくと、早くもそこを住処にしようとする魚が現れたりする事だった。相模湾は、僕の想像以上に豊かな海であった。時にはアイロン台の上に居座ろうとする生意気な魚までいた。魚が乗ったアイロン台の様は、水中ではまさにマナ板そのものであった。

松澤 等

松澤等(まつざわひとし)。サーフィン、カヌー、山登り、ロッククライミングなどのスポーツを経て2004年、エクストリームアイロニングジャパン(EIJ)発足。高い身体能力とユーモアセンスを取り入れた活動内容で国内のEI人気を着実に向上させている

→  http://www.exironingjapan.com/

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