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長野で80歳の女性蕎麦打ち職人に出会って、「蕎麦コラム」再開の決意を新たにする

[2009-05-27]

私の場合は執筆に当たって改めて取材することが多いため、毎週更新は心ならずも目標になっている。時として地方取材の途次に訪れた蕎麦屋さんを紹介するブログ風の記事になることもあるだろう。しかし、それもまた新たな出会いであり、思いもかけない収穫を得る場合もある。

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先日も本誌ローカル線の取材で素晴らしい女性の蕎麦職人に出会ったので、再開のご挨拶代わりにご紹介する。「手打ちそば つる忠」(長野県千曲市稲荷山 996、電話026-272-1022)のご主人、市川富士さん、80歳(写真)。善光寺西街道の稲荷山宿に文政元年(1818年)から続く老舗蕎麦屋の六代目だ。

富士さんはより美味しい蕎麦を打つために、48歳で東京の日本そば大学に1年通い、さらに65歳で一茶庵そばうどん教室に入って勉強し直した。原料の蕎麦の大切さを知り、35年間取引のあった製粉会社と縁を切って、一茶庵や戸隠の農家から取り寄せた蕎麦粉に切り替えた。

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更埴地方に昔から伝わる「おしぼりそば」(写真)は、辛味大根の絞り汁に味噌を溶いた蕎麦つゆで食べる、爽やかな蕎麦だ(詳しくは『男の隠れ家』8月号「篠ノ井線」の記事にて)。

富士さんは80歳を越えた現在も客の注文があると自ら蕎麦を打ち、釜前に立って蕎麦を茹でて、従業員に指示を出している。厨房を完全に仕切っている、現役バリバリの職人だ。80歳とは思えぬ若々しい身のこなしと爽やかな笑顔には本当に驚いた。

 常に前を見ながら歩み続ける、素敵な蕎麦職人に出会えるのも蕎麦取材の醍醐味。こんな感動をこれからの蕎麦コラムでも伝えていけたらと思っている。再開後の蕎麦コラム『ほろ酔い蕎麦屋めぐり』を末永くご贔屓に。





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阿部 文枝

阿部文枝(あべふみえ)。昼過ぎの蕎麦屋で「飲んでつまんで蕎麦を手繰る」を喜びとする蕎麦ライター。本コラムでは、本誌「男の隠れ家」の蕎麦特集で掲載しきれなかったお薦めの蕎麦屋を紹介する

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男の隠れ家 1月号
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