無の価値を見極めて成功を収めた "目利き" の半生 − 北原照久(おもちゃコレクター)
[2009-08-09]
コレクション人生は100の苦しみと、101の喜び「おもちゃって、存在価値の低いもののように形容されるじゃないですか。『おもちゃのように扱われる』、『おもちゃみたい』という表現があるわけですから。そういったものを集めていたわけだから、昔は変人扱いをされましたよ。でも、集めていくうちに海外を中心にどんどん評価が高くなって、今では、日本製のブリキのおもちゃが海外のオークションで700万円で落札されるようになっているんですよね。僕が手に入れたときは、何百円の代物だったのに」 そう言って広げた海外のオークション雑誌には、確かに7万ドルの値が付けられた日本製のブリキのおもちゃがあった。ふと横にあるコレクションケースを見ると、写真と色違いの同じブリキのおもちゃが、ほかのおもちゃと一緒に無造作に飾られていた。 コレクターは数えられるうちは初心者。数えられなくなったらやっと中級だと彼は語る。ただ、どれだけコレクションが増えようが、買ったものは全部覚えているという。 「いつ、どこで、どんな気持ちで買ったかをすべて記憶してますよ。それだけ心がときめいて、ドキドキして買っているから忘れないんですよ。それが仕事になっているんだから、本当に幸せだと思います」 自分のコレクションを見ながら、笑顔でそう話す彼は現在61歳。「好きなものを集める」ことが仕事になっているという夢のような人生だ。今でこそ、世界的なコレクターとして著名になった北原氏だが、始めから趣味が仕事になると考えていたのだろうか。 「全く思っていませんでしたよ。集めるということには、とにかくお金がかかる。買うのは当然、保管するのにも費用がかかるわけですから。特に僕は自分のコレクションを売らないので、増える一方。借りている400坪の倉庫だけでも毎月 150万円の費用がかかるんです。とにかく、趣味を仕事として成立させるためには、それだけ働かなきゃいけないから、大変ですよ。好きなことを仕事にするのは、幸せなことですが、本当にリスクが高いと思います。集めることには、100の苦しみがあって、101の喜びがある。紙一重なんです」 「苦しみと喜びが紙一重でも、喜びが勝っているからやっていける。最近は100年後の自分をイメージしていてね。もう自分はこの世にいないけど、僕のコレクションは20世紀の日本の庶民の生活を知る上で、最大のものになっていると思うんです」 |
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